『 両国の橋ゆくむれに、われに似て、
後姿(うしろ)さびしき人のまじれり 』
***
両国は別に両国でなくても構わない。
むしろ、この世の別名だと思おう。
橋は此岸と彼岸との橋だと思おう。
さて私は今まで私自身の後姿を見たことがあっただろうか。
貴方は今まで貴方自身の後姿を見たことがあっただろうか。
想像してみよう。
あの橋を渡るとき、「私」は「私」自身の後姿を見ていることを。
その後姿は、どのように見えるのだろうか。
想像してみよう、その後姿を。
きっと、さびしき人が橋をとぼとぼと歩いていると思うだろう。
***
『 かくばかり さびしきことを思ひ居(を)し 我の一世は、過ぎ行かむとす 』