2014年8月7日木曜日

12. 山びとの・・・

山びとの 言ひ行くことのかそけさよ。
    きその夜、 鹿の 峰をわたりし 』
***
作者は山深い木曽の宿にいるらしい。
もう、だいぶ夜もふけたようだ。

その宿の、こじんまりとした質素な部屋で、作者は未だ何かの本を読んでいる。
すると、宿の奥のほうから人声がする。

この山に棲む狩人が宿の主(あるじ)に声をかけているらしい。
この山での獲物を宿に届けたのだろうか。
声は小さく低く深く、あまりよく聞こえてこない。

作者は、ふと窓に眼を向ける。
すると鹿だろうか、山の奥から「生きもの」の声も一つ聞こえた。


作者は眼を閉じて「夜」をじっと感じている・・・