『 山びとの 言ひ行くことのかそけさよ。
きその夜、 鹿の 峰をわたりし 』
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作者は山深い木曽の宿にいるらしい。
もう、だいぶ夜もふけたようだ。
その宿の、こじんまりとした質素な部屋で、作者は未だ何かの本を読んでいる。
すると、宿の奥のほうから人声がする。
この山に棲む狩人が宿の主(あるじ)に声をかけているらしい。
この山での獲物を宿に届けたのだろうか。
声は小さく低く深く、あまりよく聞こえてこない。
作者は、ふと窓に眼を向ける。
すると鹿だろうか、山の奥から「生きもの」の声も一つ聞こえた。
作者は眼を閉じて「夜」をじっと感じている・・・